運命の相手に出会えないと嘆く人へ☆偶然と必然の大きな差

自作小説(タロット)

その偶然を運命だと思えた時、人はそこに奇跡を見る☆

 

 

※前話をお読みいただいてなくても、このお話だけでもお楽しみいただけます!

 

Pick up TAROT

「THE HANGED MAN ~吊るされた男~」

☆その試練はいつか身を結び、報われるだろう

どうしようもなく辛い事、でも逃げられないような事に出くわした時、ただただ自分の運命を呪い、嘆くばかりになってしまいがちになる。しかし、視点を変えてみてみるとまったく違う風景が見える事がある。その風景の意味がわかるのは、何日か後かもしれないし、何か月か後かもしれないし、ましてや何年か先かもしれない。けれど、物事は必然であり、それは乗り越えたモノにしかわからないもの。逃げずにそれを受け入れることで己の心は鍛えられ、これまで経験したことのないような喜びや幸運が得られるのだろう。

 

「THE LOVERS ~恋人~」

☆出会うべき時にやってくるソウルメイト

大切な人やモノに出会う時期が来ているのかもしれない。その時に重要な選択に迫られることもあるだろう。大切にすべき事をしっかり見つめて考え、後悔のない選択などの行動をしていこう。すると自然と迷いはなくなり、自分の信じる道をまっすぐに進んでいけるようになるのだ。

 

 

 

第九話「必然として邂逅」

完全無欠と言われた男

 

私の名前は久我陽一郎、職業は医師だ。父も医師で個人病院を営んでおり、私は医者の息子として何不自由なく育てられた。

 

そんな私を人はよく「なんでも揃っているエリート」と囃し立てたりする。たしかに私は運動はそこそこではあるけれど、学問は昔から秀でているほうだったと思う。大抵の事はさほど苦労もせずに、いい具合にこなしてしまう方でもある。

 

母親似の、どちらかというと女顔であるこの顔を私自身はあまり好きではなかったが、人は私を“イケメン”と呼び、昔から言い寄ってくる女性も少なくなかった。家柄や学歴、ルックスなど、色んな面で高評価を受けていたのもあって、「なんでも揃っていて羨ましい」などと、羨望の眼差しを向けられたり、時には嫉妬されることもあった。

 

しかし、人が「羨ましい」と思うモノは、時として仇となったりする。それを私は今までの人生をもって痛感している。

 

女難の相

 

私を羨ましく思う人から「神様は不公平だ」と嘆かれたことがある。私だって誰かを羨ましく   思う事は当然あるし、その気持ちはよくわかる。けれどその反面、私はやっぱり「神様は公平」だと思うのだ。

 

例えば、自分が難なく出来る事柄に一生懸命努力を重ねても出来ない人の気持ち。そして、逆に努力して努力してやっと出来た時の達成感や喜びも、私にはわからない領域がたくさんあるのだから。

 

そんな無知さが人の神経を逆なですることも少なくない。そのせいで、人との関係性に亀裂を生じてしまうこともある。人が思うよりもずっと、私には足りない部分や出来ない事が多くあるのだ。恵まれている部分もある代わりに、欠けている部分もある…きっと誰もがそうで、私も例外ではない。

 

そんな私の一番ネックは、女性関係である。他の事はある程度器用にこなせるのに、女性が絡むとどうもうまくいかない事が多い。例えば、向こうから言い寄ってくるのに、いざ付き合ってみるとフラれる事も少なくなかったり。また、私を巡って女性同士で争いが勃発したり、メンヘラ化したりストーカーする女性もいた。

 

医大生や医師になってからは、更に酷くなった。これまで以上に、見た目や学歴、家柄、お金などにつられて言い寄ってくる女性ばかり。その結果、近づいてくるのはトラブルを起こしかねない女性ばかりといっても過言ではなかった。そんな私はいつしか女性に振り回される人生に疲弊し、次第に女性に苦手意識を持つようになっていた。

 

家族にも恵まれ、学業や仕事も順調で、そこだけ見ればそこそこスムーズな私の人生。でも、そんな私に神様は“完璧”は与えない。神様はあくまでも平等で、みんなに分け隔てなく“難”を与えていると身をもって感じていた。

 

このように、私には昔から女難という宿命があるようだ。それは多くの恵まれたモノを与えてくれた代償に、私に課せられた試練なのかもしれない。

 

 

 

失恋からの結婚…そして離婚

 

そんな私にも、「この人となら結婚してもいい」と思える人がいた。その人はボーイッシュでサバサバした仕事に生きるキャリアウーマンタイプで、私に依存せず自立している女性だった。これまで関わってきた女性と違って愛情を押し付けてきたり、私にも必要以上に多くを求めてこず、そんなある程度の距離を保って接してくれるのが私には心地が良かった。恋愛のドキドキ感や刺激などはなかったけれど、彼女との穏やかな生活が私は好きだったのだ。初めて自然体で付き合えた相手でもあった。今思えばそれが恋愛感情だったかと言われると完全に肯定は出来ないような気もするが、少なくとも私は彼女を大切に想っていたし、生涯を共にするなら彼女しかいないと思っていた。

 

そんな彼女と付き合っている時、遠方の親戚から見合いの話が舞い込んだ。私は当然その見合いを断って、彼女といずれは結婚したいと思っていた。しかし、その頃ちょうど彼女が仕事で海外赴任が決まったりと、遠距離となった事で少しずつすれ違いの生活となっていった。お見合い話もあったりしたのでちょうどいい機会だと思い、私はプロポーズをすることにした。しかし、結局彼女は仕事を取る形となり、断られてしまったのだ。そして、私もそれに抗うことをしなかったのもあって、最後は別れることとなった。

 

どんなに想っていても、結ばれない事はある。それが、縁なのだと思うし、彼女とは縁がなかったのだと今ではわかる。

 

彼女の意志を尊重したいと納得しての別れではあったが、実質上フラれてしまった私はその失恋に少なからず傷心していた。そんな中、一度断った縁談を再度親戚は「会うだけ会ってみないか?」と持ち掛けた。この頃の私は、きっとこの先いい出会いなんてないかもしれないと思っていたし、もうなんでもいいやとやや自暴自棄になっていたこともあり、結局そのお見合いを一度受けることにしたのだった。

 

会ってみたお見合い相手の女性は、今まで酷い目に遭わされてきた女性達のように問題がある感じには見えなかった。私に対して熱っぽい目で見てきたり媚びたりもしないし、むしろ男性として興味を持たれていない気さえした。そこがどこか元カノに重なるところがあって、私にとっては好印象を受けた。

 

彼女の容貌は美人でスタイルもよく綺麗な人だったが、私は元々女性にトラウマを持っているからなのか、美しい彼女に対して恋愛感情的な何かを感じる事はなかった。しかし、私にとってそんな事は些末な問題であり、恋愛や結婚といったものに何の期待も希望も抱けない身としてはそれでもかまわないと思った。むしろ、恋愛感情を抱けなくても、普通の生活が成り立てば十分だと思っていた。そして、最終的に縁談を持ってきた親戚や相手側の親などの周りのゴリ押しもあり、半ば促されるように彼女と結婚する運びとなった。

 

物事がスムーズにいく時はいくもので、驚くほどトントン拍子に事が進んでいった。早い展開に私の頭や心がまるで置き去りにされているかのようにすら感じた。そんな風に私自身が展開に追いついていけないまま、私は既婚者となった。最後まで「YES」という答えが出せなかった私だが、周りの意見を聞いて「周りがそんなに勧めるなら…」と承諾した。まぁ、でもそれも運命。いっそ流されてみようとも思えた。しかし、この時はその波に飲み込まれるとは思ってもみなかった。

 

スムーズにした結婚だったが、それは長くは続かなかった。原因は妻の散財とまさかの浮気。1年も経たずに破綻したのだった。もちろん有責は不貞行為を働いた妻だが、妻を愛せなかった自分にも責任はあったのかもしれない。

 

失恋だけでなく離婚という経験によって、私は更に色恋沙汰にウンザリしていた。やはり私にはそういった事はとことん向いていないのだ。だから、結婚どころかもう恋愛すら二度と出来ないだろう、としみじみ思っていた。

 

幼馴染であり、実姉の夫でもある久我圭吾にも「もう女性はコリゴリだ…」と当時よく愚痴ったりしていたものだ。圭吾は私の女難を目の当たりにしてきたので、私の良き理解者でもある。そんな圭吾は「人生は長いんだ。お前もまだまだこれからかもしれないぞ?」と私を励ましてくれたりしたものの、そんな有難い慰めもその時の僕には届かなかった。

 

私は恋愛の神様にはとっくに見放されている。私が前世かなんかで何かしたのか?私の事を「何でも持ってて羨ましい」って言ったヤツ、出てこい!私は多くが恵まれているのかもしれないが、代わりに大きなモノが欠けているじゃないか。

 

何が足りなかった?何が良くなかった?

 

一緒に寄り添える相手が私にはいないのは、どうしてなんだろう___。

 

 

ずっと心の奥深くにそんな嘆きを抱きながら生きてきた。それからというもの、女性から言い寄られることも相変わらずあるにはあったけれど、私はすっかり色恋沙汰から遠ざかった日々過ごしていた。

 

そんなある日。いつものように仕事をこなし、そろそろ休憩時間かなと思っていると、私の元に「体調が優れない者がいるので診てほしいんですが…」と、看護師の五木さんという男性がやってきた。その体調不良者は宮地環奈(カンナ)という看護師だった。

 

彼女とはこれまで仕事で関わることはなかったのもあり、ちゃんと会話を交わしたのもその時が初めてだった。彼女はあまり目立つタイプではないけれど、清楚な雰囲気と可愛らしい容姿からか男性に結構人気があるらしかった。「結婚していなかったらな~」などと嘆いている輩の声を聞いたことがあり、存在は知っていた。

 

初めて会話した宮地環奈は見るからに顔色が悪くクマもできていて、見るからにゲッソリしているようだった。どうやら食事や睡眠もあまり取れていないのだろう。彼女が夫婦間の事で悩んでいることを後に知るのだが、この時の僕はまだ知らなかったのだが。

 

迷惑をかけて申し訳ないと落ち込む姿からも、彼女の真面目さが伝わってくる。ありきたりな言葉でしか労えない私に、涙を浮かべながら微笑む姿はいじらしく、庇護欲が掻き立てられていた。この時、私は確かに胸の高鳴りを感じたが、気にせいだとスルーした。

 

たわいもない会話をする中で、彼女も私が趣味でやっているオンラインゲームをしている事を知った。恥ずかしながら、私は実は結構ゲーマーなのである。だが、以前付き合った女性の反応は悪い事が多かったのもあり、あまり表立って話題にすることを避けてきた。なので、女性とこんなに楽しくゲームの話が出来る事が嬉しくて、彼女が体調が思わしくないのにも関わらずついたくさん話してしまったではないか。医師としてはあるまじき行為だったと、後で反省した。

 

それ以降、私は院内で彼女を見つける度に声を掛けるようになり、仕事に集中していない時以外は自然と目で追うようにもなっていった。そして、オンラインゲーム内でも一緒にプレイしたりするようにもなり、会話を交わす事が増えていった。彼女の人柄を知るにつれ、徐々に想いを寄せるようになっていくのはいうまでもない。

 

色恋沙汰を諦め、もう二度と恋愛なんて出来ないだろうと思っていた私の思惑からは大きく反れ、こうして私の人生初であろう片思いが始まったのだった。

 

 

 

葛藤

 

私はこの恋心を誰にもバレないように気を付けながら過ごしていた。あくまでも彼女は既婚者なのだ。仮に私の想いをぶつけようものなら、彼女に迷惑がかかってしまう。節度を持つように気をつけなければ…と、自分に何度も言い聞かせ、言動には細心の注意を払っていた。

 

もちろん願わくば、彼女と幸せになりたい。それ以上に、彼女には幸せでいてほしい。というか、自分が幸せにしてあげたい。しかし、それが出来るのは私ではなく、彼女の夫なのだ。そんな信じたくない事実が、私を度々絶望させていた。

 

やっと私の運命の人が見つかったと思ったのに。神様、どうして彼女の運命の相手が私じゃないのでしょうか。やっぱり私は前世で何か多大なる罪を犯したのでしょうか。

 

私の葛藤の日々に、いつ終わりは来るのでしょうか。どうか、この終わりが残酷なものでありませんように…。そんな切なる願いを胸に秘め、今日も私は葛藤する。

 

 

恋のキューピット?

 

その後、宮地環奈の結婚生活があまりうまくいっていない事を知ることになった。彼女の元気のない姿を見るのは辛いけれど、その事実に内心喜びを感じていた私は性格が悪いだろうか。

 

私は、度々看護婦長の和泉晶に探りを入れていた。彼女は僕の母の従妹であり、幼い頃から私を可愛がってくれていた人でもある。現在、同じ病院の看護婦長である彼女は、宮地環奈の上司でもある。宮地環奈の状況を知る一人で、娘のように心配しながらいつも見守っていたようだった。

 

私が色恋沙汰にウンザリしているのを和泉晶も前から知っていたので、私が宮下環奈に好意を持っているとわかった(というか、なぜかバレていた。)時は、正直驚いていた。しかし、後から知ったのだが、同時に喜んでもいてくれていたらしい。きっと私のことも、母と同様に心配してくれていたのだと思う。

 

「あなたたちはこれまで色々苦労したんだもの、そろそろ報われてもいいわよね。」と、和泉晶は不敵な笑みを浮かべつつ、優しい口調でそう言う。この思いが報われることなんてあるのだろうか…なんてぼんやり思いながら、今日も行き場のない思いを紛らわせるようにそそくさと診察室へと向かって行くのだった。

 

運命の歯車が動く音

ある日の勤務中、なにやら急いでどこかへ向かうらしい和泉晶と遭遇した。聞いてみると、これから宮地環奈は夫や義両親との話し合いがあり、心配だった彼女は様子を見に行く所だったらしい。

 

宮地環奈は離婚を希望しているが、夫が拒否していること。そして、義両親に辛く当たられていることなども小耳には挟んでいた。辛い思いをしている彼女を守ってあげたいのに、何も出来ない自分がずっともどかしかったし、今もそうだ。

 

そんな私の気持ちを察したのか、和泉晶は私に「ここは私に任せて。今の状況であなたが出ていったらこじれちゃうから、今は我慢よ。」と優しく言い、それに対して私ははただ頷くことしか出来なかった。まったくその通りだったから。感情に任せて私がしゃしゃり出たら、力になれるどころかきっと迷惑がかかってしまうだけだろう。

 

歯痒そうに苦い顔をする私に、「今、少しずつ動き出しているから。ここを乗り越えたら、きっとあなたの出番も来ると思うわ。」と私の肩をポンポンと優しく叩き、「じゃ、行ってくるわね。」と歩いて行った。私よりはるかに小さく華奢な背中なのに、今日は一段と大きく頼もしく見えた。

 

そして確かに、私にも聞こえるような気がした。運命の歯車が少しずつ動き出している音が…。

 

 

人生の舵を取るのは自分!

 

その後、宮地環奈の離婚は無事成立した。彼女の幸せを願うとか言いつつ、私はその不幸に心の中で思いっきりガッツポーズをした最低なヤツだ。

 

宮地環奈が私に恋愛感情を抱いているかはわからないけれど、好意的に思ってくれてはいるはずと自惚れている所もあるし、少なくとも嫌われてはいないだろうとは思っていた。今のまま友達からでもいい、でも離婚したからには、今の関係をほんの少しでも前進させたいという欲が湧いてきていた。しかし、その気持ちとは裏腹に、恋愛下手でヘタレな私は行動する事に躊躇もしていた。弱っている時にその隙を狙うのも卑怯かなぁ…なんて、自分に言い訳したり。そんな私の元に、久々にとある来訪者が現る。

 

それは、私が一生勝てない人…実姉の芽衣だ。姉は自分の意志を貫き、バッサバッサと人生を切り開く、まるでエネルギーモンスター。当時結婚に失敗した私に姉は、「あんたの敗因は、自分の人生を人任せにしたことだね。」とズバッと言い捨てた。おっしゃる通りです。だからこそ!もしもまた以前のような人生の岐路に立たされたら、誰がなんと言おうと今度こそ自分の意志で決めよう。そう心に誓いながらも、そんな時はきっと訪れないと諦めていたのだけれど。

 

しかし、人生はわからないものである。こんな私も、こうして人を好きになれた。まずはこの奇跡に感動しながらも、正直今の関係を、そしてこの想いを終わらせたくないという怖さも同じくらいある。告白して断られたら、全てが終わってしまうから。そんな気持ちが、私にブレーキをかけている。

 

久しぶりに会った姉とたわいもない会話をしながら、今回は無難に話が終わるかと油断したところ痛恨の一撃が降ってくる。まるで私を見透かしたように姉は、「あんたは決断力ないのが問題よね。そんなんじゃ、チャンスがやってきても逃しちゃうわよ?」と不敵な笑みを浮かべながら。いつもこの姉は、なぜか私の急所を突いていく。魔女かなんかなのか、この人は。

 

確かに、チャンスが到来したならば、それに飛びつき勇気を出して行動しなければ逃してしまうのだろう。だからこそ!私は心に忠実に、そして心の向くまま、あとは行動に出るだけなのだ。そう、私は自分を改めて奮い立たせる。

 

出会えた偶然を必然に、そして、今こそ奇跡に変えたい。

 

偶然のシナリオこそ、運命なのだから。

 

 

 

<次回へ続く>

 

 

私達には度々たくさんの試練が降りかかる。これまで何度も心が折れ、その度に諦めてきたこともたくさんあるだろう。

 

しかし、そんな苦痛な試練を乗り越えた先には、必ず報われる奇跡が待っている。

 

魂の成長の物語であるとされる私たちの人生という旅路では、多くの出会いがある。去るべき人は、去るべき時に去っていくように、出会うべき人は、出会うべき時に出会う。

 

ソウルメイトは、自分の進むべき道の旅路で出会うものでもあるのだ。

 

運命の音(メッセージ)に耳を傾けながら、自分の行くべき道の方へ歩もう。

 

そして、偶然が必然に変わっていく瞬間、その奇跡(出会い)が現実となってゆく。。

 

 

Pick up “名曲キーフレーズ”

「Daisy」 STEREO DIVE FOUNDATION より引用

「静寂を切り裂くよう訪れたのは 必然として邂逅 僕等の為に
後悔を嘆く瞳に映る君はそう 憂いを纏って美しく咲いた」

「君の詠う声と繋がるよう 心の奥鳴り響いた僕の音
祈りに浮かぶ明日は 生きる意味を希望に変えるから I wanna be with you」

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