なかなか断ち切れない悪縁が…!痛みを伴うけれど、その先には☆

自作小説(タロット)

先に進むために☆溜め込んできた膿を出し、今こそ決着をつける!

 

 

※前話をお読みいただいてなくても、このお話だけでもお楽しみいただけます!

 

Pick up TAROT

「SWORD  Ⅲ ~ソード3~」

☆痛みを伴う前進

人生には避けて通れない苦しみや悲しみがある。そんな不可抗力な絶望や混乱には常に痛みを伴うものだが、それらは新たなステージへ行くための“必然”である。誤魔化さずにきちんと向き合いさえすれば必ず立ち直る事ができ、またそれが糧となってより自分を強くするだろう。例え、今は悲しみにくれて辛くても、、

 

「SWORD  KNIGHT ~ソードナイト~」

☆自分を信じて迷わず動く勇敢さと、剣を振りかざす決断と覚悟

今こそ根本的な何かを変える為に、立ち上がり行動に移す時だと示している。決断したならば、風をきり剣を振り上げて果敢に突進していく騎士のように、目的に向かって脇目も触れずに進もう。相手がどれだけ手強い相手でも関係ない。恐れることなく、自分の正義を胸に、今こそ戦うのだ。自分のために、輝かしいの未来のために!

 

 

第七話「縁も堪忍袋の緒も、とうとうブチ切れる」

慟哭

私は、宮地環奈(カンナ)。只今、夫の直人(ナオト)と離婚の話し合いをしている真っ最中である。

 

離婚一択の私と、ゴネるナオト。その攻防戦は今もなお続いているわけなのだが。。話し合いもだいぶ佳境に入り、お互いが冷静ではいられなくなってきていた。

 

私は出来る限りの冷静さを保ちながらこう告げる。

 

「もう借金もなくなりましたし、私の役目は終わったと思っています。」

 

夫のギャンブルによって作った借金を返す日々で、私達夫婦の間の色んなモノが壊れていった。それは、夫婦の絆や愛情といった大切なモノ。それを痛感しているからこそ再構築は無理だと判断し、私は離婚を決意したのだ。

 

私の発言を受けて、今まで俯いていたナオトがたまらず叫び出す。

 

「役目ってなんだよ!今までも、そしてこれからもカンナと別れるなんて考えられないのに!なんで俺の気持ちをわかってくれないんだよ!もう借金はないんだし、子供とか今後はカンナの望むようにするって言っているのに…何が問題なんだ!?」

 

そんな今更な発言を繰り出すナオトに、私は苛立ちを隠せなくなっている。

 

「私達みたいに子供がいなくても、長年付き合ってきたり夫婦になれば恋愛感情のような愛情を持ち続けるのは難しい所もあるかもしれない。生活してれば喧嘩もするし、良い事ばかりじゃないから。でも、恋人同士のような男女の恋愛感情がなくなったとしても、信頼とか思いやりとか…そういう家族愛や絆があるから夫婦としてやっていけるんだと、私は思うの。」

 

私は怒りを抑えながらあくまでもなるべく冷静に、ナオトに語りかける。

 

「ずっと思ってたんだけど…私の事を女性として好きだったことあった?私は「こんなもんなのかな」と思っていたけど、他の人の話とか聞く度にずっとひっかかっていた。でも、仮にあなたに恋愛感情がなかったとしても私はあなたが好きだったし、信頼とか思いやりとか絆があれば十分だと思っていたの。でも、今はそれすらあるとは思えない。今の私達の間にあるのは愛情なんかじゃなくて…執着や依存だと思う。」

 

ナオトがギクリしたように顔を強張らせる。努めて冷静にと思っていた私だが、話しているうちにどんどん悲しみ悔しさ寂しさ怒り…色んな感情がこみ上げ、涙が自然とあふれてきてしまう。

 

「ナオトもダブルワークで大変だったのもわかる。でも、私だって仕事は忙しくなるし、更に家事もしてたから日に日に追い込まれていったの。すれ違いの生活だったとはいえ、同じ家に住んで顔も合わせていたのに、私がそんな状態だなんて全然気づいていなかったでしょ?私に無関心だものね。私が倒れた日もね、色んな人が気づいてくれて助けてくれたの。でも、それはみんなが医療従事者だったからじゃないわ。他人が身体だけじゃなく精神的なところまで気遣ってくれたけど、家族のあなたはまったく気づきもしなかった。そんな人とどう再構築しろというのよ?」

 

話し声も震えてくるほどの感情が押し寄せ、つい声を荒げてしまう。そんな私に「そんな…ちがっ!俺はいつもカンナのことを考えて…!」と、そう焦りながら弁解しようとするナオト。それを遮るように、私は続ける。

 

「もし私のことを…私との未来のことを少しでも考えてくれてるなら、そもそも遊びで借金なんてしないはずだよね?!未来の私達や子供の為に貯蓄をする気もないし、あなたは自分だけにお金を使うことを止めなかったんだよ?」

 

私が怒りを隠さずそう言うと、ナオトはバツが悪そうな顔をして黙り込む。

 

「借金はあくまでも引き金になっただけであって、そのことだけじゃないわ。お義母さんから私が色々責められている時だって、いつも見て見ぬふりだったじゃない!借金のことを黙ってることも、私にとって負担になる事だってわかってたはずなのに!自分に都合が悪い事は全部隠して、私を盾にして逃れていたもんね。結局、あなたは自分がいつだって一番可愛いのよ。私のことなんてこれっぽっちも考えていない。挙句の果てに、私が浮気していると慰謝料請求まで!私をATMとでも思っていた?それか、都合のいい家政婦やサンドバッグ?とにかく、もうウンザリなの!」

 

今まで溜め込んでいた感情が一気に放出し、気づけば私は泣きながら訴えていた。ナオトはもちろん、義母も青ざめた顔で私たちの様子を見ている。こうして私の渾身の叫びが終わる頃には、その場は異様な雰囲気に包まれていた。

 

一度切れた糸は、もう繋がらない

号泣する私を、上司である看護師長の和泉さんが優しくなだめてくれていた。和泉さんは他人にもかかわらず私を心配して駆けつけてくれ、義両親と共に話し合いに同席してくれていたのだ。頼れるのは近いのに遠い身内より、血のつながりもないのに近い他人だというのがなんともおかしな話である。

 

私が思いの丈をぶつけた後、少しの沈黙が続いた。そして、ナオトが弱々しく口を開き、その沈黙を破る。

 

「俺がバカだったよ。許してほしい。。。これからはもっと家の事もする。子供が出来たらいい父親にもなる。もうパチンコも絶対やらない。心を入れ替えて頑張るから…離婚はしないでほしい。お願いだ…もう一度チャンスが欲しい。」

 

泣きながら訴え、すがりつくナオト。そんな姿を見ても、私は首を縦には振らなかった。

 

「何度も何度も考えて、その度にまたやり直せると信じて、それを繰り返してここまで来たの。でもね、わかっちゃったの。一度切れてしまったこの糸はもう二度と繋がらないって。それがわかるまでこんなにかかってしまったなんて…私もバカだなって思うけど。数年前、結婚する時にそれに気づけてたらこんな事にはならずにすんだのかもしれないのにね。」

 

そう自嘲気味に笑う私に、「そんなこと言わないでくれ…」と、ナオトは消えそうな声で訴える。

でも、こんな声も私の心に響くどころか、更にサーッと冷えていくのを感じた。そして、「とにかく、もう無理。私の気持ちは、今後も、変わらない。」と、きっぱり言い放った。

 

「そんなこと言うなよ!まだやり直せるよ!」と、なおしつこく食い下がるナオトに、「ナオト、もう止めなさい」と、それを遮ってくれたのは今まで口をつぐみ沈黙していた義父だった。そして、「後はこちらで言い聞かすから」と言ってくれたので、そこで話し合いは終了。その後すぐに、私と和泉さんはその場を去り家を後にした。

 

こうして長い長い話し合いに、やっと終止符が打たれたのだった。

 

 

滲む一番星

家から外に出ると、辺りはすっかり日が暮れていた。けっこう泣いてしまい酷い顔をしていたので、辺りが暗くなってたのは都合がよかったけれど。

 

結局、ナオトは最後まで離婚に承諾はしなかった。けれど、私は思いの丈を言えたし、自分の中では今日でケリがつけられたと思った。和泉さんもそんな私の思いを知ってか知らずか、「言いたい事、ガツンと言えてよかったね」と優しい笑顔で労ってくれた。そんな和泉さんに感謝の言葉を伝えつつ、つい甘えの言葉も出てしまう。

 

「今までくすぶっていた重いものが取れて、おかげ様で心が軽くなりました。でも、情けないんですけど、それと同時に不安も感じているというのも正直な所でして。これから私は一人でやっていけるのかとか考えてしまうと、怖いんです。主人にはあんな偉そうに言いましたが、依存したり執着していたのは私も同じなんです。」

 

また涙がジワッと出てくる…情けない。しかし、そんな私の話にも和泉さんは優しく耳を傾けてくれるのだった。

 

「うん、そうだよね。今まで大事にしていたモノを手放すんだもの、よくわかるよ。すごく勇気が要ることだったと思うし、だからこそこれからの事を考えると不安があって当然だとも思うわ。」と、私の気持ちを受け止めてくれつつ、更に続ける。

 

「人生が大きく変わる時って、大抵痛みを伴うものなの。確かホメオスタシスという変化を恐れる本能が人間にはあって、それが抵抗感を示すと言われているらしいの。でも、古いモノを壊したり終了させないと、新しい何かは始まらないものなのよ。」

 

破壊と再生は対だと、どこかで聞いたことがある。でも、これから誰かと出会い、何かが始まるような希望を私はまだ持てない。。

 

しかし、そんな私を見透かすように、和泉さんはこう続ける。

 

「宮下さんはまだ若いし、これからたくさん良い出会いもあるでしょうから、いくらだって幸せになれるわ。まあ、年齢に関係なく人間生きていれば、いつだって本人次第でチャンスはあると思いうけどね。でも、若いければそれだけ有利なのも間違いないからね。」

 

そう励ましてくれる和泉さんに対して、「こんな私でも…またいつか幸せになれますかね?」と思わず聞いてしまった私。そんな私を優しく励ますように、しかしどこかいたずらそうな顔をしてこう言うのだった。

 

「もちろん!新しい縁というのはね、古い縁を断ち切らないと入ってこないものだったりするのよ。今回縁を断ち切ったことでそこに空きスペースが出来たから、新しいものが入ってこれるようになったわけで。運命の人は案外すぐそこまで来ているかもしれないわね☆」

 

 

それらは私を励まそうとして言ってくれた気休めの言葉だったかもしれないけれど、不敵な笑みを浮かべた和泉さんになぜか自信満々にそう言われるとそんな気がしてくるから不思議だ。

 

「そうだといいな…。」私は下手くそにぎこちなく笑顔を作りながら、つぶやくようにそう言った。そしてふと空を見上げると、一番星が涙で滲んで見えた。

 

最近まではどんより曇っている日が多かったが、梅雨はそろそろ明けるらしい。明日もきっといい天気だろう。

 

希望と不安を胸に、私はここから新たな未来へとまた歩き始めるのだ___。

 

<次回へ続く>

 

 

人生にはターニングポイントがある。

 

今まで積み上げたモノや大事にしてきたモノ…それらがいつしか自分に重くのしかかり、押しつぶされそうになることもあるけれど。

 

そんな時は、それらをスパッと叩き切る勇気と覚悟が必要になることもある。古い荷物を切り捨てた時、私たちは今まで以上に高く跳ね上がることが出来るのだ。

 

今はまだ涙に濡れていても、胸が張り裂けそうでも、勇気を持って戦おう。

 

痛みを伴うその前進はその闇さえも切り裂き、まだ見ぬ未来に必ず光を与える。

 

 

 

Pick up “名曲キーフレーズ”

「ソラニン」ASIAN KUNG-FU GENERATION より引用

「君に言われた ひどい言葉も 無駄な気がした毎日も」

「たとえばゆるい幸せがダラッと続いたとする きっと悪い種が芽を出して
もう さよならなんだ」

 

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