空っぽな日々に虚しさを感じたら☆本来の自分を取り戻す為に!

自作小説(タロット)

あると信じていたものが無かった!?ということに気づいたなら…☆

 

 

※前話をお読みいただいてなくても、このお話だけでもお楽しみいただけます!

 

Pick up TAROT

「CUPS Ⅴ ~カップ5~」

☆こぼれ落ちて無くなってしまったものを前にして立ち尽くす

悲しみに打ちひしがれたり、先が見えずにどうしていいか途方にくれることもある。しかし、どんな状況でも必ず希望はあるもので、可能性がまだ残されていることを忘れてはならない。必要以上に自分を悲観的に捉えたり過去の事をくよくよ考えたりせず、未来の為にやるべきことに目を向けてみよう。全てが失われたわけではないのだと、今こそ気づくべきなのだ。

 

「CUPS Ⅷ ~カップ8~」

☆過去の未練や後悔、執着を捨てて、新天地へと旅立とう

今まで大切にしてきたからこそ向き合えなかったモノに対し、区切りをつける時が来たのだろう。世も人も移り変わり、心も一つの所に留まってはいられないもの。その変化は進化であり、決して悪いことではない。今こそ勇気を持って、今ある居場所やモノから離れ、新たな所を求めて旅立とう。

 

 

第六話「溜めてきたモノと溜まらなかったモノ」

バケツの底の穴

私は、宮地環奈(カンナ)。現在、夫の直人(ナオト)との離婚に向けての話し合いを、義両親を交えて今まさにしているところであった。離婚にゴネる夫を目の前に改めて思うこと…それは、再構築はやはり難しいということだった。

 

例えば、愛情や信頼など大切なものを溜めるバケツを持っているとする。そんなバケツに、私も夫と大切なものをすくい集めながらこの十数年歩いてきたはずだった。

 

しかし、バケツを見ると溜まっていたはずの物が空っぽになっていることに気づいた。

 

バケツの底には、大きな穴が開いていたのだ__。

 

 

実を言えば、私はずっと前から底にヒビが入っているのに気づいていた。でも、それを認めたくなくて、見て見ぬふりをした。

 

でないと、ここまでやってきた事が無駄のように思えてきてしまうから。捧げた時間も情熱も、その青春の全てが意味のなかったことだと思い知らされてしまうから。

 

それは私にとって何よりも辛く、耐えがたいものであり、目をつぶって気づかないふりをした。

 

しかし、もう塞がらない穴の開いたバケツを持って私は途方に暮れている。溜まることのないバケツに注ぐ気力も情熱も、私にはもう残されていない。また、例え夫が私のバケツに無理やり注ごうとしても、それはすぐ零れ落ちてしまうだろう。

 

こんなに遠くまで来てしまったからこそ、なかなか捨てられないモノ。それと同時に、それはもう壊れてしまっているモノでもある。それについては、もはや情ではなく執着と呼ぶ方がしっくりくる気がする。

 

こんな“空っぽ”のまま、ずっとこの先も生きていくの__?

 

注いでも注いでも空っぽのままのバケツを見て、私は絶望していた。

 

ずっと大事にしてきたモノだからこそ手放す事は怖くて不安だけど。それでも勇気を出して一歩踏み出さなければ、これからもずっと抜け殻の人生なんだ。

 

 

暴露

夫のナオトがギャンブルで作った借金発覚から夫や生活を支えてきたけれど、借金の完済を経て私は燃え尽きた状態になってしまった。そして、これ以上結婚生活は続けられないと、ナオトに離婚の申し出たわけだけど、しばらく離婚を拒否されてきまして。

 

しかし、進展の兆しが感じられた話し合いが義両親を交えて今日行われることになったわけで!でもまさかの“私が浮気をしている”などと変な言いがかりをされるという…(苦笑)もちろん潔白を証明してやりましたけどね。でもその結果、また離婚をゴネられるという状態に逆戻り。話が全然進まないこんな状況に、私はかなりウンザリしていた。

 

「今までだって二人で乗り越えてきたじゃないか。これからは俺ももっと頑張るから!」などと、必死にすがりつくナオト。そんなナオトに対し、義母はため息をつきながらこう言い放った。

 

「ナオトばっかり頑張ってもしょうがないじゃない。今までだってナオトは倒れるくらい仕事をしてたっていうのに、カンナさんが家のこともろくにせずに夫をほったらかしてたんでしょ?だから、子供とか出来るもんも出来ないのよ。どうしてもやり直したいって言うなら、カンナさんにもっと心を入れ替えてもらわないと…私は賛成できないわ。」

 

以前から私のことを良く思っていないこの義母は、度々私を批判する言葉を浴びせてくるですけど。しかしながら、こんな時でも子供のことを持ち出してくるとは。子供を作る気なかったのはナオトだし、だいたい借金でそれどころじゃないし。子供が出来なかった原因も、こっちが別れたいって言ってるのにゴネてるのも、あなたの息子ですから!と思いながら、怒りがこみ上げてくる。

 

怒りで肩が小さく震え出す私に、話し合いに同席していた上司の和泉さんが「宮地さん。もう自分の気持ちを押し殺さないで、ちゃんと言ったほうがいいわ。」と言ってくれる。

 

この和泉さんという女性は私の上司の看護師長であり、公私ともに度々お世話になってて信頼を置いている人だ。今日も私を心配して駆けつけてくれたわけで。私の両親は今回この話し合いの場には来れなかったので、和泉さんがいなかったら四面楚歌だったことだろう。和泉さんのおかげで命拾いしたな。。

 

そんな和泉さんの私を気遣ってくれる言葉に後押しされ、私は静かに口を開いた。

 

「ずっとお話しているとおり、離婚したいという意志は変わりません」

 

そんな私の言葉にかぶせるように、「だから、結論を急ぐなよ…!」と憤るナオトをスルーして、なおも私は話を続けた。

 

「ナオトさんが倒れてしまったのは、ダブルワークをしていたからです。仕事を増やさなくてはならなかったのは…ナオトさんに借金があったからですけど。」と、きっぱりと言い放つ。

 

「なっ……!」

 

私の言葉に驚いた様子の義両親はナオトを見た。それと同時に、ナオトは顔は一気に青ざめていくのもわかった。これまであまり喋らなかった義父が「一体、何の借金だ?」とナオトに聞く。

 

「それは…その……。」と、口をもごもごさせ、返答に困っているナオト。なので、代わりに私が答えてあげることにした。「ギャンブル…まぁパチンコによる借金ですね。」と。少額ではなかった為、これまで必死で返済してた事も教えてあげた。すると、「お前というヤツは…何をしているんだ!」と義父が怒りを露わにする。ますます青ざめるナオトに追い打ちをかけるように私は続ける。

 

「ナオトさんの給料は全て借金の返済に回さなくてはなりませんでした。ですので、その間の生活費などの全ては私が払わねばならず、私も仕事を増やさなければならなくなりました。お互い働く時間が多くなったわけですが、ナオトさんは家事は一切されませんので私が全てこなしていました。お義母様のおっしゃるとおり、家の事が疎かになっていたというご指摘は反論できません。しかし“夫をほったらかしにしていた”というのは間違っています。あの時点で夫を見限って本当にほったらかしにしていたら、今頃まだ借金が完済出来ていないどころか膨れ上がっている可能性も高かったと思いますけどね。」

 

私の言い分に義母は何も言い返せず、バツが悪そうな顔をしているのを見て少し溜飲が下がる。何も知らないくせに好き勝手言うからですよ?と心の中で舌を出す私は腹黒い?w

 

 

そんな私の発言に対して、和泉さんもまたすかさず口添えをしてくれる。

 

「私が上司として至らなかったのもありますが、出来る限り無理のないシフトを…と思っていても宮下さんの負担は相当なものだと端から見ても感じていました。何度か職場で倒れたこともありましたね。それは心労の部分も大きかったようでしたが、今日こうしてこの場に同席させていただいて、そのことが納得出来ましたけどね。」と、和泉さんが少し怒ったような口調で言い放つ。私のために怒ってくれるなんて、本当にありがたい…。

 

「和泉さんが上司じゃなかったら、私はもっとボロボロでした。和泉さんをはじめ、職場の人たちが良くしてくださったから、私はなんとかここまでやってこれたんです。」私が涙を浮かべながらそう言うと、和泉さんは優しく微笑む。

 

ずっと前から…そして今日も、味方として私の傍にいてくれる和泉さんの存在は大きい。今日だって、血のつながりも何もない同じ職場で働いているというだけの私を心配して駆けつけてくれ、義両親&夫ナオトとの話し合いに同席してくれているのだ。そして、臆病者で逃げ腰の私の背中を優しく押してくれたから、こうして立ち向かえている。

 

だからこそ!今日は、ちゃんと決着つけなくては!と、更に気合いと色んな感情が湧き上がってくるのだった。

 

 

責任転嫁

 

そんな私たちに、義母は苦し紛れの反論をしてきた。

 

「で、でも!そもそもナオトが借金したのだって、あなたが構ってあげなかったから娯楽に目が向いたんでしょ?仮に子供がいたらきっとそんなことにはならなかったと思うわ。」

 

まだ子供のことを言うか!w この人、どんだけ孫を待ちわびていたんだろ。いや、単なる私に文句言いたいだけかもしれないけど。でも、だったらちゃんと教えて差し上げないといけないよね。いつものように責めてきたって、今日の私は引き下がりませんから。

 

「私は結婚前からずっと子供が欲しかったんですが、むしろ難色を示していたのはナオトさんです。“自由になるお金がなくなるのが嫌だから”という理由で、しばらくは作りたくないということでした。ナオトさんは結婚後も仕事のない日は一人で出かけてしまう事も多かったですし、夫婦生活も何もない感じでしたけどね。むしろ私の方がナオトさんの浮気を疑ってもいいくらいです。まぁでもナオトさんの場合は、ほとんどギャンブルに時間を割いていたようでしたけど。お義母さんに言われるまでもなく、私もさすがにそろそろ子供欲しいなと思っていましたが、そんな矢先に借金が発覚してしまい、子供どころではなくなってしまったんです。」

 

丁寧に子供が出来なかった経緯を説明してあげた。すると、義母が負けじと「そうならそうと、だいたいなんで借金のこと今まで黙っていたのよ?」と反論してくる。なので、ナオトに口止めされていたことも伝えた。

 

すると、「だいたい結婚したくないナオトを無理やり結婚させたのはあなたなんだから、そんなナオトを支えるのは当然じゃないの!」と、義母に痛いところを突かれる。それに対しては、

 

「お義母さんのおっしゃるとおり、半ば強引にナオトさんに結婚に踏み切らせたのは私かもしれません。だから借金を返すまでは…と、妻として最後の役目を果たすべく、私になりにこれまで支えてきたつもりです。」と返答。

 

ナオトの借金を知った時、すぐ離婚することも出来た。でもそれをしなかったのは、私が結婚を推し進めたという罪悪感が少なからずあったからだ。そこは認めつつも、こう続けた。

 

「結婚前に、もしどうしても私と結婚をする気がなかったら別れてほしいとも話しました。ナオトさんの気持ちを無視してさすがに結婚出来ませんから。そしたら、私と別れるのは嫌だから結婚しようと承諾してくれました。ですので、私だけの独断で結婚に至ったわけではなく、ナオトさんの意志もあって結婚したと私は思っていたのですが。。」そう私が言うと、それに口添えするように和泉さんも続ける。

 

「子供同士の結婚じゃないんですから。もうお二人とも未成年ではなく大人ですよ?どういう経緯で結婚に至ったにしろ、決断したのは当の本人達ですしね。それは誰のせいでもなく自分の責任だし、旦那さんのご意志ですよね?それを、宮下さん一人に責任を押し付けるのもどうかと思いますけど。」と、呆れたように言い放った和泉さんに義母は反論出来ず、ムスッとしている。

 

そんな会話の中で珍しく口を挟んできた義父は、「その通りだ。結婚を決めたのはナオトだ。もういい歳した大人が流されて結婚して、その責任を全部カンナさんに押し付けるのはおかと違いだ。」と、私や和泉さんに賛同する意見を述べる。その言葉に、

 

「でも、やはりそこにはナオトさんの意志はなかったのかもしれません。私が“結婚してもらった”というのがやっぱり正しいのかもしれないですね。結婚費用もこちらが全額負担したくらいでしたしね。」そう苦笑いしながら私が言うと、またも義両親の表情が変わる。

 

「結婚費用はナオトが全部払ったはずじゃ…!?」と義両親がナオトに詰め寄る。どうやら、その辺も義両親には自分の都合の良いように伝えていたらしい。マジですか。こうなると、もはやどの辺までおかしな情報が伝わっているのやら(苦笑)

 

義父が、「すまない、カンナさん。知らなかったとはいえ、色々と思い違いをしていたようだ。言い訳になってしまうが、一方的にナオトや家内の話しか聞いてなかったからそれを鵜呑みにしてしまっていた。色々とずっと辛い思いをさせてしまっていたようで、すまなかったね。」と、私に謝罪したあとに、義母とナオトを見る。

 

「家内の酷い物言いも申し訳ない。ナオトにもちゃんとさせるつもりだ。ほら、二人ともまずは謝りなさい。」そう義父は二人に促したが、義母はフン!とそっぽを向き、ナオトも俯いたままだった。

 

私はそんな二人を見て、今までずっと押し殺していた感情が一気に溢れ出すのだった__!

 

 

 

<次回へ続く>

 

愛も信頼も絆もお金も、あると信じていた全てが空っぽだったと気づいた。

 

そんな私に残されたモノ。

 

それは、ずっと吐き出せなかった怒りや悲しみの感情、後悔、そして小さなプライド。

 

気づかない間に私の中に蓄積されていたものが爆発する時、痛みと引き換えに、やっと本当の自分を取り戻せるのだ。

 

そしたら、これまで費やしてきたモノへの執着を手放し、新たな道への一歩を踏み出そう!

 

 

Pick up “名曲キーフレーズ”

「細雪」和楽器バンド より引用

「指の隙間すり抜けてく想い出を搔き集めてるだけ
少しずつのすれ違いは いつの間に二人を別つ」

何処かに落としてきた情熱も 誰かを愛した日の温もりも
二度とは戻れない日々だって 過ぎてゆく」

 

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