人を傷つける策略や誤解など…真実は必ず白日の元にさらされる☆

自作小説(タロット)

別れたいのになかなか別れられない!夫が強気に出た驚きの理由とは!?

 

 

 

※前話をお読みいただいてなくても、このお話だけでもお楽しみいただけます!

 

Pick up TAROT

「SWORD Ⅴ ~ソード5~」

 

☆自己中心的な態度や手段を択ばない選択は、時に争いを起こしたり人を深く傷つける

争いは勝ち負けに関わらず双方が傷つく行為であることをまず理解すること。自分が相手より優位に立ちたい、打ち負かしたいという気持ちから起こるいざこざは、相手を傷つけるだけでなく、結局は自分も傷ついたり失ったりと多くの代償が伴うもの。相応の覚悟を持って立ち向かわなければならない。悪びれることなく自分のことしか考えないような利己的な行いによって例えその場は勝利したとしても、必ず真実は明らかとなり、真の勝利の女神は誠実な正義に微笑むだろう。

 

 

第五話「言いがかりと真実」

招かざる客

私は、宮地環奈(カンナ)。現在、夫の直人(ナオト)との離婚に向けての話し合いを、義両親を交えて今まさにしているところであった。

 

ナオトとは長い交際期間の末の結婚だったので、結婚当初から正直新鮮さはなかった。けれど、夫婦関係はそこまでうまくいっていないわけでもなかった。途中までは__。しかし、それはある頃を境に変化していった。

 

きっかけは、主にパチンコによるナオトの借金発覚。それによって私の中のナオトへの信頼感や愛情などが崩壊していった、加えて、義母との関係もうまくいっていなかったなど他にも懸念材料もあったのも重なり、これ以上夫婦関係を続けていくのは辛く厳しいと感じるようになっていった。

 

けれど、私はすぐ離婚を切り出さずに、ナオトの借金が完済されるのを待った。それは、最後に妻としての役目を果たすまでは…と自分なりに思ったからだ。借金完済後、私はやっと自分の責務も終えたと思い、離婚を切り出すことに。まったく予想だにしていなかったナオトは困惑し、そしてずっと私の申し出を拒否し続けた。

 

こうして何度も話し合ってはきたのだが、話は平行線のまま進展することなく月日ばかり経っていった。しかし、ある時に家を出て実家に身を寄せていた私の元にナオトから連絡が入り、“離婚の話をしたい”と自宅に呼び出されたので行ってみると、そこには義両親の姿があった。そして、今まさに義母の先制攻撃を食らっていた最中に玄関のチャイムが鳴ったので、ナオトと玄関に向かったところである。

 

ナオトが玄関を開けるとそこには、意外な人物が立っていた。

 

「え!?和泉さん!?」

 

驚く私に、「突然ごめんなさいね。」とその人物は優しく微笑みかける。

 

この和泉さんとは、私の上司で看護婦長でもある。職場ではもちろんのこと、プライベートでも何かと気にかけてくれている私にとってはもう一人の親のような存在だ。

 

ポカンとするナオトに職場の上司だと伝えると、「今取り込み中なんですが…」とあからさまに怪訝そうな顔をしていた。しかし、そんなナオトに気にも留めない様子で和泉さんは玄関に並ぶ靴に視線をやると「突然ごめんなさいね。あら?他にどなたかいらっしゃるんですか?」のか尋ねてきたので、ナオトの両親も来ていることを伝える。すると和泉さんは、私達が今日離婚について話し合いをしているのを知っている上での来訪だということを告げ、私の親代わりでぜひ同席させてもらえないかとナオトに提案してきた。

 

最初は不服そうにしていたナオトだったが、「まぁ、でも逆に職場の方がいると話が早いかもしれませんね……。わかりました、中へどうぞ。」と、思い直したようで快諾。

 

ナオトの言い分にどこか胸騒ぎを覚えなくもなかったけれど、味方がいないこの空間に和泉さんが入ってくれるのは私にとってまさに救いの神だった。

 

そんな私の傍らで、不敵な笑みを浮かべるナオト。

 

和泉さんが“招かざる客”だということを、この時ナオトは知る由もない___。

 

 

 

援軍

リビングまで向かう時、和泉さんが私に耳打ちしてきた。突然押しかけてきて申し訳ないという謝罪と共に、来訪したのは同僚看護師であり親友でもある先輩の山瀬灯里(アカリ)と後輩の白石鈴乃(スズノ)から事情を聞いたからだと言う。

 

アカリとスズノの二人も私をすごく心配してくれていたらしいが、アカリは子供の用事で、スズノは仕事でどうしても都合がつかなかったとのこと。そこで、仕事を調整出来た和泉さんが「私に任せて」と駆けつけてくれたというのだ。

 

「すみません。でも、正直、心強いです。。」と泣きそうになりながら伝える。そんな私の肩を優しくポンポンと慰めるように叩く和泉さんに、申し訳なさと感謝でいっぱいだった。

 

家に入ってからというもの、味方のいない緊張感や疎外感などで胃がキリキリしていたが、和泉さんという援軍の存在が私の心を確実に強くするのを感じていた。

 

私は一人じゃない__!

 

「よし!」と気合いを入れ直し、リビングへと向かうのだった。

 

 

予期せぬ疑惑

リビングに戻り、まずは義両親に事情を説明することに。すると、義母は「部外者がどうして話し合いに加わるの?」とあからさまに不機嫌そうだったが、ナオトは「まあ、いいじゃないか」と義母をなだめ、和泉さんにこれまでの話を説明し始める。

 

「そして、カンナがどうしても俺と離婚するというなら、慰謝料を払ってもらいたいって話の途中だったんですよ。」

 

「え?慰謝料って??」と驚く和泉さんを横目に、得意気に言い放つナオトの言葉に思わず私たちは絶句する。

 

「カンナ、浮気してるよね?」

 

は?????

 

頭にはてなマークがいくつも出てくる。この男は何を言っているんだろう?

 

私が呆然とする中、「なんですって!カンナさん、本当なの!?」と、すかさず吠える義母。義父や和泉さんも驚いた様子だったが、「根拠はあるんですか?」と和泉さんが問う。

 

「ウチのパソコンから、メールやら写真を見つけましてね。」とナオトはドヤ顔。家にはパソコンが1台しかなく、普段それをナオトと共用で使っていた。でも、やましい物なんて何もないはずなのに…?

 

ますます困惑している私に、ナオトはこう言う。

 

「突然カンナが離婚したいなんて言うから、真っ先に浮気を疑ったよ。だって、僕たちは10年以上も一緒にいて絆だって深い。普通なら離婚したいなんて言うはずないからね。僕だって本当は探ったりなんかしたくなかったけど、パソコンを見たら偶然メールや写真を見つけてしまったんだ。」

 

そして、こう続ける。

 

「でも、カンナが離婚を取り消してくれれば、このことは一切言及せずにやり直してもよかったんだ。僕は最後のチャンスもあげたんだよ。でも、カンナがみすみすそれを逃したんだ。」

 

そう言うナオトに対して、義母が「まともに家事もせず夫をほったらかしにした挙句、勝手に家を飛び出したと思ったら、浮気までしていたなんて!なんて嫁なの!ナオトもそこまで情けなんてかける必要ないわ!慰謝料たっぷり払ってもらって、もうさっさと別れなさい!」と強い口調で糾弾する。

 

そんな義母の話はとりあえずスルーして、「じゃあ、その証拠のメールと写真とやらを見せて?」と私はナオトに言った。

 

すると待ってましたとばかりに、プリントアウトしたらしい写真とメールを渡しながらナオトはチラッと和泉さんを見る。そして、「そうだ、和泉さん。浮気相手は職場の人らしいので、貴方にも確認していただきたい。」と不敵な笑みを浮かべる。

 

そのメールや写真を見て、私と和泉さんは思わず顔を見合わせる。一方、ナオトは鬼の首を取ったように、私たちにこう言うのだった。

 

「五木アキラさん、ご存じですね?」

 

 

事の発端と経緯

「そんな名前の人は、ウチの職場にはおりませんよ?」

 

和泉さんは、「は~~」とため息をつきながらそう言った。しかし、「隠しても、ムダですよ。写真の名前にはちゃんと“五木さん”となってるんだから。」と、ナオトがそう指摘する。

 

「まぁ確かに、写真は“五木さん”ですけど………ねぇ?」と、和泉さんが「どうしたものか…」と言いたげな顔で、チラッと私を見ながら言う。

 

写真は数枚あり、確かに全て私と五木さんのツーショットだった。ちなみに…五木さんとは、職場の先輩にあたる男性の看護師である。そこには、仲睦まじげに私と肩を組んでいる写真もあった。しかし、この写真では私の浮気の証拠にはまったくならないだろう。浮気写真なら普通ハグとかキスショットならばわかるが、私と五木さんは単に肩を組んでいるだけなのだから。

 

しかし、ナオトは“誤解”しているのだ。「しかも、五木って男は既婚者で子供もいるんじゃないか。ダブル不倫だ!」と。

 

では、どうしてそんな“誤解”を生んだのか。

 

その原因はメールにあった。差出人のアドレスは「akira.I.3646@…」

 

アキラという人物から届いたメールには、“五木さん”の写真が添付されていた。それに対してのカンナの返信メールもプリントアウトしてあった。

 

「写真ありがとうございます!そして、いつも相談に乗ってくれたり励ましてくれたりと、本当に感謝しきれないです。夫とはもうダメかもしれません。正直毎日しんどいですけれど、でも職場に行くと気が紛れます。もし今後独り身になったらホントにそちらへ嫁がせてもらおうかな~なんて(^^)そのくらい、私はお慕い申しております☆」

 

という内容に対し、その“アキラ”からの返信は、

 

「ぜひ、ウチに嫁においでなさい!笑 大歓迎ですよ☆旦那さんより幸せにする自信もあるしね(^^)宮地さんは可愛いし性格もいいから、独身になったら引く手あまただろうけど。今は色々と大変かもしれないけれど、辛かったらいつでも相談してね。」

 

そんな内容だった。なるほど、これでアキラという人物との浮気を疑ったのだろう…か?

 

メールに添付された写真の名前は「五木さん」で、イニシャルは「I」。メールのアドレスも、akira.Iなので、五木アキラだと思ってしまったというわけか。

 

真相に気づいている私と和泉さんは、一から事情を説明することにした。まずは、愛妻家で子煩悩パパでもある先輩の五木さんは既婚者ではあるけれど、五木さんの本名は五木康介といい、“アキラ”ではないことを話した。

 

「じゃあ、アキラって誰なのよ!さては、アキラって男が他にいて浮気しているんでしょ?」と、義母が鋭い口調で言い放つ。そしてナオトも、「もし写真の男がアキラじゃないとしても、浮気している事実は変わらないんだから」と、「やれやれ」とわざと困ったような表情に私は内心イラッとしていたけれど。

 

そんな中、和泉さんが深いため息をつきながら核心をつく一言を放つ。

 

「あのですね………そのアキラって、私なんですけど?」

 

 

真相

「は???」と、ポカーンとするナオトと義両親。しかし、ナオトはハッと我に返り、「何を言ってるんですか?貴方の名前は、イズミさんでしょ?」と、小バカにしたような顔をしながら言い放つ。

 

その質問にまた軽く溜息をつきながら和泉さんは、「イズミは苗字ですけど?名前は、アキラです。和泉晶と申します。」と答え、和泉さんはすかさず運転免許証を掲げた。その姿は、まるで水戸黄門の格さんみたいだ。

 

私はナオトに、以前から上司に「イズミさん」という人がいることを話していた。しかし、ナオトはなぜかずっと下の名前だと思い込んでいたらしい。普通は上司を下の名前で呼ばないよね?ちょっと考えればわかるようなものなのに…むしろなぜ?wまあ、そこまでまったく関心がなかったということなんだろうけど。もはや笑えるけど、やっぱり悲しくもあり。。

 

とにかく、事の真相はこうである。

 

和泉さんの娘さんの旦那さんが、この五木さんなのである。そして、和泉さんが義理の息子である五木さんから写真をもらったのだが、そこに私が映っている写真があったので私にメールで送ってくれたのだ。それは、たまたま五木さんとツーショットで撮られた飲み会での写真だっただけで、その場には同僚のアカリやスズノなど他にもたくさん人がいた。

 

私から和泉さんへのメールの返信文の「お嫁に…」のくだりは、和泉さんがナオトとの結婚に疲れた私のために、「ウチの息子と結婚して嫁に来てほしいくらいだわ」と冗談まじりに励ましてくれていただけ。そしてそれに私がまた冗談で乗っかっていたという…たわいもない話なのだ。

 

会ったこともない和泉さんの息子さんとの結婚はもちろん考えたことはなかったけれど、和泉さんみたいな人が義母になるのはいいなとは、本当に思ってましたけどね。実の義母には正直うんざりしていたので、余計にそう思えてしまったのもかなりある(苦笑)

 

しかし、それがまさか浮気を疑われる原因なんて思ってもみなかった。こんな些細な事から誤解って生まれるんだなぁと改めて知った出来事となった。いやはや…。でも、これって私が悪いの?誤解されるようなことしたかな?いや…どう考えても、普通に考えたらわかるよね?私ってそんなに信用ないのか…いや、違うな。自分を有利に持っていくために証拠を必死に探した結果か。。いずれにせよ、私達の間にはもう愛情どころか信頼も何もないんだなと改めて思い知らされたのだった。

 

 

 

開き直りと執着

こうして私と和泉さんが説明すると、ナオトの顔は青ざめていった。そして、「そうだったのか!やっぱりカンナは僕を裏切らないと思っていたよ!」などと、開き直ったようにそんなことを言い始める始末。あれだけ自信満々に浮気を指摘してきたのに、勝手なものだ。

 

しかもそれだけでは飽き足らず、「でも、そもそも紛らわしいやり取りをするのが悪いと思うけど?」などと、悪びれる事もなく、自分を正当化し始めるではないか。

 

義母も「アキラなんて男みたいな名前で紛らわしいのよ!」と逆切れし出したが、和泉さんが「侮辱罪で訴えますよ?」と冷ややかに言うと、さすがにグッと黙り込んだ。ナイスです、和泉さん!

 

謝罪することもなく「浮気していないなら、離婚したい意味がわからない。」と、また離婚を拒否し始めるナオトに心底呆れてしまったのは言うまでもない。

 

私に浮気などの落ち度がないとなると、慰謝料も取れないとおそらく悟ったのだろう。また、私がいれば生活費は賄えるし、家事もやってもらえるというメリットもある。いつからか私はナオトにとってATMや家政婦に成り下がっていたのかもしれないな。

 

極めつけが、勘違いとはいえ、この仕打ちだ。私には怒りや呆れ、そして嫌悪感しかなかった。十年以上も連れ添った結果がこれか…。

 

やっぱりこの人とはやっていけない!再構築はありえない!

 

そう再度強く決意した私はこれまで封印していた感情が一気に湧き上がってきたのも感じながら、私は肩をふるわせ、拳を握り締めてナオトを睨みつけていた。

 

 

<次回へ続く>

 

 

別れたくないからと、何としてでも繋ぎ止めたい人がいるとして、相手を傷つけてしまうことより、自分の保身を優先してしまった時点で、そこにあるのはもはや愛ではなく、執着であると自覚しなければならない。

 

そして、その執着は相手を傷つけるだけでなく、いつか自分の首も絞めることになるのだ。

 

自分の事しか考えないその歪んだフィルターからでは偽りしか見えず、それもやがて必ず白日の元に晒され、真実に打ちのめされる時がくるだろう。

 

そして、最後には、愛も信頼も絆も、全てが手から零れ落ちてゆくのだ___。

 

 

Pick up “名曲キーフレーズ”

「Shout at the Devil」L’Arc~en~Ciel より引用

「願いよ今この手を導け 偽りの輝き吹き消して見せよう
その力が汚れて見えても 真実の旗振りかざせ!」

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