八方塞がりからの脱出の鍵は、手を差し伸べてくれる味方の存在☆

自作小説(タロット)

ピンチの時、敵を見るか味方を見るか☆大切にすべき人

 

 

※一話完結ではありませんが、このお話のみでもお楽しみいただけます☆

 

Pick up TAROT

「THE HIEROPHANT ~教皇~」

☆援助の手や正しい助言があなたを支え、心の拠り所となる

進むべき道に迷った時こそ、的確な判断によりその道しるべを示してくれるような存在を見落としてはならない。

信頼出来る人からのアドバイスが、あなたの進むべき道を必ず照らしてくれる。その惜しみない助けで心は癒え、混乱した頭は冴え渡り、これまでとは違った物の見方が出来るようになるだろう。

あなたは一人ではなく、困難の中にも必ず救いはあるのだと思い知る事が出来るのだ。

 

「SWORD Ⅵ ~ソード6~」

☆援助者によって危険や争いから抜け出し、本来行くべき道へ導かれる

そこは、本当にあなたのいるべき場所なのだろうか?

たくさん苦しみ多くの傷を負ったあなたは、今はまだ未来への恐れや不安がぬぐえないかもしれない。しかし、前に進もうと心に決めて、一歩踏み出しそこから去れば、その苦しみは終わりに向かうということを教えてくれている。

自分から進む勇気や気力ないなら、助けてくれる誰かに頼ったっていい。きっとあなたを導いてくれるから。

そして、今閉ざされている視界はやがて澄み渡り、必ずたどり着く。明るい未来へと。。

 

 

第三話「捨てる神あれば拾う神あり」 ~教皇とソード6~

敵もいれば、味方もいる

私は宮地環奈(カンナ)、看護師をしている。既婚者だが、まだ子供はいない。

 

結婚後、夫(ナオト)のパチンコが原因の借金返済に追われ、度々嫌味を言ってくる義母にもウンザリしながら、ストレスフルな日々を送っていた。

 

そんな順調とは言えない結婚生活の中でも、悪い事ばかりではなかった。私には優しい両親だけでなく、結婚前にも結婚後も色々相談に乗ってくれてた職場の同僚や上司がいてくれて、公私ともにずいぶん支えられていた。

 

人の生死と向き合うという緊迫した医療の現場は、時に殺伐としており、厳しい意見や批判などが飛び交う事もある。

 

しかし、そんな厳しさの中にもきちんと思いやりや優しさを持ち合わせた人達が多く、そのように職場環境がよかったのは私にとってかなり救いであった。家にいると気が滅入ってしまう時も、職場にいると気が紛れる事も多かった。

 

私には、特別仲の良い同僚の看護師が2人いる。

 

先輩である山瀬灯里(アカリ)は見た目からクールにみられがちであり、実際もサバサバした姉御肌ではあるが、実は涙脆く情に厚い人。私にとって頼りになる優しい姉的存在であり、実生活では1児の母でもある。

 

そしてもう一人、後輩の白石鈴乃(スズノ)は、いつも明るくたわいもない話で場を和ませてくれる子だ。お調子者でマイペースだが、非常に頭の回転がよく仕事もそつなくこなすキレ者でもある。実はけっこう苦労人であり、私なんかよりずっとしっかりしている。色んな顔を持つ面白い女性である。

 

そんな2人は私の事情を知る信頼出来る友人でもあり、いつも話を聞いてくれては励ましてくれた。辛い時だからこそ、その優しさが身にしみてありがたかったのは言うまでもない。

 

「渡る世間は鬼ばかり」なんて聞くけれど、世の中鬼しかいないわけでもないなと思った。いやむしろ、こういう時だからこそ、自分にとって大事な人が浮き彫りになっていくのだろう。

 

 

 

上司でもあり、母のようでもあり…

職場には、和泉さんという看護師長がいる。彼女は気さくで優しく、仕事以外でも相談に乗ってくれる頼りがいのある上司だ。

 

結婚を機に仕事をセーブさせてもらっていたのだが、ナオトの借金が判明した後に仕事のシフトを出来るだけ増やしたいと和泉さんに申し出た時も、「何かあったの?」と私を心配してくれたのだった。元気がなく何やら思い詰めている様子の私をずっと気にしてくれていたらしい。

 

プライベートな事なので話すのを一瞬ためらったが、和泉さんの人柄は知っていたし、仕事でも信頼を置いている人なので、私は思い切って事情を話すことに。和泉さんに話しているうちに今まで蓋をしていた色んな気持ちがこみ上げてしまい、気づくと涙がボロボロと出ていた。泣きながら話す私に、「大変でしたね」と労ってくれる和泉さんの優しさが心にしみた。

 

それからというもの、和泉さんは以前にも増して何かと私を気にかけてくれた。私の体力面を考えて、無理のない範囲のシフトで調整してくれたりもした。もちろん、労働時間などのコンプライアンス的な事もあってのことだが。

 

それでも肉体的にも精神的にもハードな日々だったが、なんとかこなしていけてたは和泉さんの配慮のおかげがかなり大きい。

 

精神的にもまいっていた結婚生活の中でいつも支えてくれた和泉さんは、私にとって尊敬する上司というだけでなく、いつしか“もう一人の母”と思えるような存在にもなっていた。

 

兄的存在の先輩

職場では色々な人にたくさんフォローしてもらっていたが、それでも体調が思わしくない日もあった。心労のせいか、不眠と食欲不良に度々悩まされるようになっていたのだ。

 

起きた時から身体がだるく、ナオトと一緒に朝食を摂るもあまり食べられなかったある日の朝も、ナオトは私の異変には一切気づかず、普段通り仕事に出かけていく。

 

出勤すると、五木さんという男性の看護師が私の不調にすぐ気づき、とりあえず休憩室で少し休んでるよう促してくれた。さすがは看護師というべきなのか、気づかない夫がおかしいのか…。

 

みんなを看護する側の私が体調不良では、現場スタッフだけでなく患者さんにも迷惑をかけてしまう。そんな申し訳なさでいっぱいだった私を五木さんは気遣ってくれ、優しく声をかけて部屋を後にした。ありがたいやら、情けないやら。。とほほ。。

 

五木さんは、仕事は的確でテキパキこなすけれど、性格は穏やかで優しい。困った時などいつもさりげなくフォローしてくれる、優しいお兄さん的存在なのだ。

 

そんな五木さんは、実は和泉さんの娘の夫なのである。最近子供が生まれたばかりで、もはや子煩悩のパパと化していた。休憩時間などに携帯の待ち受けなどを見ながらニヤニヤしていることも。そして、和泉さんにとっては初孫でもあり、こちらもフィーバーしていたのはいうまでもないw

 

家族みんな仲良くて微笑ましくもあり、正直羨ましくもあり…。それに比べて私は、結婚生活も義母ともイマイチな上に、仕事までこんなんで…凹

 

そう思うと、情けなくて泣けてくる。体調が悪いと、いつも以上にネガティブが私を覆い尽くそうと猛威を振るってくるものだ。

 

色々と落ち込みながら、私はだるくて重い身体を休憩室で休めるのだった。

 

 

 

人気のワケありドクター!?

私が休んでいると、久我先生という男性医師が部屋に入ってきた。診察してもらえるよう、どうやら五木さんが頼んでくれたらしい…ありがたいけれど、申し訳ない。。

 

久我先生は医者としての腕もさながらルックスや人柄の良さも相まって、看護師の中だけでなく、患者やその家族からの人気が高いドクターである。今まで勤務で関わる事がなかったので噂で聞いたり見かけるだけだったが、実際に自分が接してみると改めてよくわかった。あれはモテる。間違いない。

 

というのも、端正な顔立ちに眼鏡がより一層映え、長身足長というモテ要素抜群のシルエットもますます王子感を漂わせている。そして、嫌味のない言動や物腰の柔らかさがますます非の打ちどころのなさを感じさせる。チートキャラか!

 

そんな引く手あまただろう久我先生は、実はバツイチらしい。しかも、けっこう揉めて離婚したという噂もある。

 

そのせいかはわからないけれど、女性にはどこか一線を置いている感じの対応らしい。久我先生にアプローチする女性は多いものの、未だ浮いた話も聞かないのはそのせいだろうか?

 

これらは、久我先生にミーハー的な憧れを抱いている後輩のスズノ情報なのだが(苦笑)ちなみに、スズノ曰く、「これは恋愛感情ではなく、イケメン芸能人を愛でるのと同じ感覚ですからね!」だそうだ。わからないくもないけれどw

 

しかしながら、久我先生みたいに非の打ちどころのないような人でも結婚に失敗したりするんだな…。まぁ、そりゃ私だって思い描いていた結婚と現実はだいぶ違ったのだ。実際に結婚してみないとわからない事も多いのだと、今は身を持って痛感している。

 

診察中そんなことをぼんやり考えていると、「まだめまいはある?」などと久我先生に声をかけられ、ハッとする。いかん、診察中だというのに脳内がトリップしていた。私の悪い癖である。

 

気を取り直して、「だ、だいぶ良くなりました。ご迷惑かけてすみませんでした。」と慌てて謝る。すると、「無理しすぎはよくないよ。ゆっくり休むことも大事だよ。」と笑顔で返される。キラースマイルがなんとも眩しい。

 

久我先生はちょうど休憩に入る前だったようで、診察後にたわいもない会話をした。凹んだ様子の私を気遣ってくれたのだろうけれど、噂で聞いていたよりもずっと親近感があった。そしてふとした会話から、私と同じゲーマーということが判明。すごく意外で驚いた。実は私はゲームが大好きで、よく家に引きこもってオンラインゲームをやっていたりするのだ。オタクと言われれば…まあ、否定は出来ないw

 

以前からハマってやっていたオンラインゲームを久我先生もたまにやっていると聞き、思いのほか話が盛り上がってしまったではないか。というか、この人絶対忙しいよね?いつゲームやる暇があるの??そんな謎も浮上しつつ、勝手に親近感。

 

ちなみにナオトはそのようなゲームはほとんどやらないし、私の趣味にも興味を示さない。なので、こんな風に人と好きな事について話せるのが余計に嬉しかった。そしてその後、例のオンラインゲームの中でも久我先生と出くわすこととなるw

 

ゲーム内で初めて出くわしたその時も、もちろん日時を示し合わせたわけではなかった。しかし、初めてゲームの話をした時にハンドルネームを聞いていたので、見かけた時はすぐに久我先生のアバターだと気づく事が出来た。アバターは意外にも強そうでかつ美人な女戦士。久我先生の好みの女性像なのだろうか?意外と尻に敷かれたいタイプだったりしてw内心、勝手な想像が広がる。

 

そして久我先生も、他にいたゲーム仲間たちと同じようにフレンドとなり、冒険する仲間になったのだったw

 

ちなみに…私は既婚者であるし、男女の仲と誤解されるような言動をしないようにだけは細心の注意を払っていた。久我先生ともあくまでゲーム仲間として、必ず他のみんなと複数で冒険を一緒に楽しんでいた。しかし、職場では決して見られない素の久我先生をゲームの中で目の当たりにする度に、そして職場でも気さくに声をかけてくるようになるにつれ、私も密かに久我先生のファンの一人になっていたのは、ここだけの話だ。

 

もしも心の奥底まで覗かれ裁かれる事があるのなら、久我先生に密かに惹かれている時点で浮気ということになるのだろうか。でも、優しいイケメンに笑顔を向けられたら誰だって心躍ると思うし、これは不可抗力だ!これまであまり興味を示さなかった3次元のイケメンにときめいてしまうのは、きっと実生活に潤いがないからだ…と、現実に引き戻されては憂鬱な気分になるのだった。

 

 

 

心配してくれる他人と無関心な身内

職場の人達から良くしてもらいながら毎日を過ごしていると、ふと思うことがあった。

 

“ナオトから心配されたことなんて、ここ何年あっただろうか?”

 

今はナオトもダブルワークなどで大変なので、人を気遣う余裕がないのもわかる。けれど、それ以前にも、私を労ったり気にかけてくれた記憶は正直あまりない。

 

ナオトは料理や掃除が苦手で、いつからか家事は私がやって当たり前になっていた。基本的に買い物は私が一人で行くが、一緒に行った時も荷物を持つのはほとんど私だった。そんなナオトの言動や反応に対して、ずっとそれが普通だと思っていた。付き合った男性はナオトしかいないので、みんなこんなものなんだろうと当たり前に思っていたのだ。

 

しかし、友人知人から時折聞く、恋人や旦那さんの話。そして、五木さんや本田先生といった思いやりのある男性と実際接する度に、「あれ?」と違和感を感じることも増えた。

 

ナオトは、暴力や暴言など酷い事はしない。けれど、思いやりの行動や言動もあまりない。というより、私に関心がないと言った方が正確かもしれない。長い年月を経て結婚した現在の関係といえば、夫婦というよりただの同居人。私に無関心な旦那は、このすれ違い生活を違和感を持たずに過ごしている。

 

無関心な夫と攻撃的な義母という冷たい身内と、あたたかい他人たち…私を大事に想ってくれて、私が大事にしなければならない人達はもはや明白だった。

 

そう気づいた時には、もう後戻りが出来ない所まで来ていたのだけれど。。

 

 

不思議な夢

眠れない日が続いていて眠りも浅いからかもしれないが、ある時期を境に私はよく夢を見るようになった。それは、いつもだいたい同じような内容の不思議な夢。まるで自動巻き戻し再生のように、繰り返し見させられているかのようだった。

 

夢を見るようになったある時期とは、私が看護師として勤める病院に入院していたとある患者が亡くなってからだった。その患者は、癌を患い余命宣告を受けていた星野古都子という老女だった。担当ナースとなった私は、短い間だったけれど彼女と色んな会話を交わした。そして、彼女が亡くなった後から、その不思議な夢を見るようになったのだが、彼女自身その夢には一度も出てこない。

 

決まって夢に出てくるのは、私ともう一人の人物だった。私ではない“誰か”の姿はいつもぼやけ、顔もよくわからない。どうやら男性のようではあるけれど、夫のナオトではないのはわかる。そして、その人物は決まって私の手を優しく引くのだ。

 

夢なのにその人の手のあたたかさが伝わってきて私はとても安堵し、ずっと繋いでいたいと切に願っている。夢とは言え、見知らぬ男性にこんな感情抱くなんて…これって浮気?

 

とにかく、その人に手を握られて私は安らぎを感じている。そんな時、“カシャン”と音がして、その人がかがみ込んだ所で繋いでいた手がパッと離れてしまう。私は慌ててその人の手を掴もうとするけれど、一瞬でその人の姿は目の前から消えてしまう。そしてそこで、いつも目が覚める。

 

夢を見た後に自然とこみ上げてくるのは、寂しさや喪失感。まだピースが足りないという感覚。

 

今日もまたあの夢を見て目を覚ますと、見慣れた天井に“チッチッ”と時計の音。時計の隣に置かれた深いブルーの星型をしたガラス玉が暗闇の中で一瞬キラリと光った気がした。きっとまだ夢心地のせいだろう。「ふ~」とため息をつきながら、カーテンに手を伸ばし少しめくって空を見上げる。

 

今はまだ夜明け前。光が差すまでもう少し___。

 

 

<次回へ続く>

 

辛い時ほど自分を苦しめるモノだけにフォーカスしがちだけれど、自分を助けてくれる存在や救いもまた必ずあるもの。

 

ピンチの時にこそ人の本性もわかりやすく、自分が守るべき人間をあぶり出すのにも最適な時。

 

目の前の敵にばかり気をとられて、自分にとって大事な人やモノを見つけたり気づけたりするチャンスを逃してはいけない。

 

不幸中の幸いにするのは、あなた次第。

 

 

 

Pick up “名曲キーフレーズ”

「君がいるから」菅原紗由理 より引用

「“泣いたっていいんだよ” 君がふいにそう言ってくれたから
何だか嬉しくて 涙じゃなく笑顔が零れた」

「新しい扉を開く それは誰でも怖くて不安だらけだけど
背中を押してくれた 君を思い出せば 力が溢れてくるからね」

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