人生には軌道修正が入る時がある☆試練の訪れと葛藤の日々

自作小説(タロット)

“こんなはずじゃなかった…” 思ってたのと違う結婚生活の話☆

 

 

<これまでのお話> →「第一話 独り相撲」

※一話完結ではありませんが、このお話のみでもお楽しみいただけます☆

 

Pick up TAROT

「THE TOWER ~塔~」

☆予期せぬアクシデントと崩壊の先に

 

人生には思いがけない出来事が突然起こることがある。今まで積み上げてきたものが突然崩れ落ち、生活が一変…そんな衝撃に人は大きく揺るがされ、時には混乱したり不安をかき立てられたり、ダメージを受けることもある。

「塔」は劇的な変化のシンボルであり、これまで築いてきた価値観や固定観念などを見直し改める為のいい機会であるとも教えてくれている。

この変化や崩壊は、あくまでも人を不幸ではなく幸福の道へと誘う為のものであり、凝り固まった古い自分から新たな自分へと変身を遂げるために用意されたもの。

壊れてはいけないものは、決して壊れない。壊れるものは、壊れていいものだけ。

破壊の後には必ず再生があり、新しいスタートを切るこのチャンスを決して逃してはならない。

 

「THE HANGED MAN ~吊るされた男~」

☆抜け出せない現状、試練を乗り越えたら見えるもの

人は人生で度々訪れる試練を目の前にすると、時に苦痛や絶望を味わい、身も心も八方ふさがりになり動けなくなることがある。

乗り越えるべき試練は、言い換えると“乗り越えられる試練”でもあり、魂の成長の為に用意された人生において重要かつ必要なものである。

それらの大抵は、予期せぬものであり、未然に防いだり回避出来るものでもないのだから、まずは現状を受け入れること。

そして、光が見えるまで耐え、努力を重ねれば、必ずその経験が未来の幸福や成功の礎となるだろう。

 

 

 

第二話「結婚は修行とは言うけれど」 ~塔と吊るされた男~

名ばかりの新婚

私は宮地環奈(カンナ)、旧姓は神月。私と恋人だった宮地直人(ナオト)は、長い交際期間を経て先日やっと夫婦になった。

 

しかし、婚前から半同棲状態だったのもあり、新婚というには新鮮さはない。むしろ、まるで長年連れ添った夫婦のようであったかもしれない。初々しさはゼロw

 

以前から休暇が重なっても二人でどこかに出かける事もあまりなくなっていたので、結婚後も私は私で、友達に会ったり一人で買い物に行ったりとナオトとはほぼ別行動だった。しかし、私もそんな生活に対しての不満はなく、むしろ自由気ままな所が楽でよかった。結婚前とほぼ変わらないけれど、こんな平凡な生活が幸せなのだと感じていた。

 

なにより、彼女から妻になれたことだけでも私なりに幸せを感じていたし、こんな日々がずっと続くのだろうと疑いもしなかったのだけれど。。。

 

しかし、結婚してわずか数か月で生活が一変することになるとは…なんともはや、、である。

 

 

 

悪い予感ほど、的中するもの

私たちにはまだ子供もいないし共働きなので、家賃や光熱費などの生活費は全部折半でやっていた。しかし、ある日ナオトが「しばらく生活費が出せない」と言い出した。

 

理由を尋ねても言葉を濁すナオト。何かおかしいと思い問いただしてみると、なんと多額の借金があることが判明し、愕然とした。借金の原因は、元よりナオトの趣味のパチンコだった。

 

結婚前からナオトの浪費癖にはずっと懸念していたのだが、結婚したら変わるはず…と甘く見据えていたのも否めない。そして今回、自分自身の認識の甘さと楽観視しすぎていたことを改めて思い知らされた。

 

「どうしよう…」とうろたえる私の頭に、“離婚”という言葉が一瞬よぎる。しかし、夫婦だからこそ、こういう時は助け合わなければならないのではないか?そもそも、乗り気ではないナオトに対して、強引に結婚したのは私ではないか。いまさら、離婚なんて出来ない。色んな考えが頭の中を駆け巡っては消え、全然考えがまとまらない。

 

「とにかく、今は借金をなんとかしなければ…!」と思い直した私は、パニックになりつつも精一杯自分を奮い立たせるのだった__。

 

更にすれ違う二人

こうして、ナオトの給料は全部借金にあてなくてはならなくなり、生活費などは全て私が出さなければならなくなった。楽観的なナオトもさすがに責任を感じ、仕事の合間にバイトを掛け持ちすることになった。ナオトの会社が副業禁止ではなかったのは幸いだった。

 

私も生活費を稼ぐためになるべくシフトを増やし、お互いが生活に追われていく。こうして、ナオトとはこれまで以上にすれ違いの生活となっていった。

 

言いたい事は山ほどあったけれど、仕事や生活に追われるにつれて文句を言う気力さえなくなっていった。そんな止まりつつある思考でも、私が望んでいた結婚生活とは違う事だけはわかる。結婚して子供も出来るだけ早く欲しかったのに、こうなってはもうそれどころではなくなってしまったし…。気づけば、結婚に憧れや期待を持っていたあの頃の自分はもうどこにもいなかった。

 

“何でこんなことに…どこで道を間違えたんだろう。。”

 

憂鬱さや怒りを振り払うかのように、私はますます仕事に打ち込むのだった。

 

 

一方的に責められる嫁

そんなある日の仕事中、ナオトが体調を壊してダウンしたとの連絡があった。慌てて職場から帰宅すると、そこには義母の姿があった。自分を看病させるためにナオトが呼んだらしい。しかし、その割にはナオトは意識もはっきりとし、元気そうに義母と話していた。

 

私が家に入るなり、開口一番で「ナオトがこうなるまで、あなた何していたの?」と義母が冷たい口調で責めてくる。

 

以前より「好かれてはいないだろうな…」と感じていた私にとって、ナオトとの結婚の不安材料の一つがこの義母の存在でもあった。寡黙で言葉少ないながらも度々私を気遣ってくれる義父とは違って、義母は最初からそっけなかった。この義母が少々曲者なのだ。

 

ナオトには英人(エイト)という既婚者の兄が一人いるのだが、その兄(私にとっては義兄)をなにより溺愛していた義母は嫁(義姉)に対して当たりがそれはもう酷かったらしい。そして、現在は義兄夫婦と義母は絶縁状態にまでなっている。よっぽどだったんだろうな。。(怯)

 

そんな当時の義姉ほどではないのかもしれないが、義兄と絶縁状態になってしまった義母の関心が全てナオトに移ってしまったせいか、私への当たりが日に日に強くなってきているのを感じていた。

 

そんな義母にもだが、庇うどころか見て見ぬふりをするナオトにも正直ウンザリしていた。それに比べて、妻を守るように実の母と絶縁までした義兄…守ってくれる夫を持った義姉が正直羨ましい。同じ兄弟なのに、こうも違うのか…と度々思う。

 

私を責めるような発言をする義母に、「お宅の息子が借金背負ったせいで、私も働きづめなんです」と言ってやりたかった。けれど、ナオトに「親には心配かけたくないから借金のことは言わないでほしい」と懇願されていたので、言い返すのをなんとかこらえた。

 

「心配かけたくない」と言いながら、こういう時は呼びつけるのか…と内心思ったが。まぁ実際のところは、自分が借金を作った事を知られたくないだけだろうけど。こうしたナオトの矛盾した言動も、こんな風に言われっぱなしで言葉を飲み込む事も、あらゆることがストレスとなっていた。

 

ちなみに、自分の両親にはそれこそ心配かけたくないので、結婚生活があまり順調ではないことやナオトの借金のことも話していない。数年前に脳梗塞で倒れて麻痺が残った父の看病に追われている母に、さらに心配させるようなことを言いたくなかったのだ。

 

私が義母に何も言い返さないことをいいことに、「ろくな食事も作らず、息子を馬車馬のように働かせて…なんて嫁なの!」「子供もなかなか出来ないし…あなたに原因があるんじゃない?」などなどと、次々と攻撃は繰り出されていく。ホントに勘弁してほしい。

 

こんな時も苦笑いを浮かべているだけで他人事のナオトに内心イラッとしつつ、なけなしの愛情も少しずつ引いていっているのを感じるのだった。

 

 

無関心な夫

義母が帰った後、さすがに抑えられずナオトへ文句を言い放つ。しかし、「母さんだって、息子を心配しているだけで悪気はないんだよ」と義母を庇いながら、「機嫌直してくれよ」と、私をなだめ始めるナオトにはかなり辟易した。

 

まあ、でも付き合った時からナオトはいつもこんな感じだったけれど。大抵の事は穏便に済ませようとするところがあり、喧嘩してもヒートアップするのは私ばかりなのだ。そんなナオトの性格を穏やかで優しいのだと思い、冷静に見えた態度は年上の包容力だと思っていた。

 

しかし、実際はその優しさに見える優柔不断さが仇となったり、冷静なくらいの無関心さが私の独り相撲の場面を増やす結果にもなっていた。そして、結婚してから発覚したこの度の借金問題。

 

「この人しかいない」

 

そう思って結婚したのに、ふとした瞬間にもう一人の自分が問いかけてくる。

 

「本当にこの人と一生添い遂げるの?」

 

ナオトの浪費癖や義母の存在よりも、私がナオトとの結婚に一番のひっかかりを感じていたこと。それは、ナオトの私への無関心さだった。

 

違和感を感じていたのに、ずっと気づかないふりをしていた気がする。でも、度々思うのだ。「この人は私の事を本当に想ってくれているんだろうか…?」と。

 

婚前にも“この人と本当に結婚していいのだろうか”と、これまで何度も自分に問いてきた。しかし、“私にはやっぱりナオトがいない人生なんて想像できない。”と思い直す。結局そんなループを繰り返すだけだったから踏み切った結婚。

 

そしてまた再び湧き起こった不安、迷い、焦り…色んな感情が、私を八方ふさがりにしている。考えても考えても、答えが出ない。出せない。

 

そして、「とりあえず、今は借金に集中しよう。その後のことは、借金が完済してから改めて考えるとしよう…。」と、保留という名の“現実から目を背ける”という行為に結局至ってしまう自分が情けない。

 

だけど、借金完済という猶予期間が終わったら、もう逃げてはいられないだろう。今度こそ向き合わなければ…。私は現実から逃げたがる思考に対して必死に抗っていた。

 

 

 

今は出口の見えない暗闇の中でも

言い合いにもならない喧嘩を切り上げ、ナオトは逃げるようにそそくさとバイトに出かけていった。その後ろ姿に「なんかもう…いいや」と思い、思わずため息が出る。

 

部屋に一人残された私は、虚しさに包まれながら何気なくふと窓から空を見上げた。そこには星一つない真っ暗な夜空が広がっている。

 

その漆黒の闇に今にも吸い込まれそうで、私の不安は更に大きくなっていく。

 

今まだ、光は見えない___。

 

<次回へ続く>

 

 

人生には辛い事や苦しい事や悲しい事など、度々試練が訪れる。

 

長年積み上げてきたものが一気に崩れ去るような、時には痛みを伴うそんな衝撃に揺さぶられ、しんどくて全てを投げ出したくなる日もあるだろう。

 

けれど、神様はその悲鳴にちゃんと気づいている。

 

だからこそ、あなたを行くべき道に進ませるために、全てを破壊し失わせることもある。“痛み”と共に、「今の道は間違っているよ」と必死に伝えていたりするのだ。

 

再生には破壊が必要で、痛みが伴う。必要のない試練は訪れない。

 

今が暗闇の中だとしたら、まだ物語の途中だということ。例え、どん底に落とされてもがいても、誠実に前に進んでゆけばいつか必ず辿り着く。

 

たとえ、今は光が見えなくとも。。

 

 

 

Pick up “名曲キーフレーズ”

「バイシクル」NICO Touches the Walls より引用

「ブレーキの軋む音 耳を裂いて空を見上げた
神様僕はここにいますが 僕の悲鳴に気づいていますか?」

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